
放デイの設備選びで最初にすることは、商品を買うことではありません。指定担当部署、消防、建物の専門家に相談し、必要な空間と安全条件を確定することです。その後に、家具・IT・車両・備品を順番に選びます。
設備・備品を考える前提
こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインでは、サービス提供に必要な設備・備品を適切に備え、障害特性に応じて安全・安心に過ごせる環境を整えることが示されています。
発達支援室だけでなく、食事、静かな遊び、休息、更衣などに使える空間を工夫して確保する視点も重要です。また、備品は「放デイだから同じものをそろえる」のではなく、利用するこどもの障害特性と発達状況に合わせます。
指定に関わる設備と、運営品質を高める備品を分ける
- 先に確定するもの:物件、部屋、避難動線、消防・防犯、衛生設備など
- 図面後に決めるもの:机、椅子、収納、事務機器、通信、車両など
- 利用児に合わせるもの:療育教材、感覚・運動遊具、個別の視覚支援用品など
必要な設備・備品の全体一覧
| 区分 | 主な設備・備品 | 選定ポイント | 準備時期 |
|---|---|---|---|
| 空間・内装 | 発達支援室、相談・面談、静養、更衣、食事、職員事務の各スペース | 用途の分離、避難動線、見通し、音・光への配慮 | 物件契約前から確認 |
| 家具・収納 | 机、椅子、ロッカー、下駄箱、教材棚、鍵付き書庫、パーティション | 人数、寸法、耐荷重、転倒・指挟み対策 | 図面確定後に選定 |
| 事務機器・IT | パソコン、タブレット、複合機、プリンター、電話、FAX、Wi-Fi、バックアップ | 必要台数、個人情報、保守、通信障害時の代替 | 開所1か月前まで |
| 送迎・車両 | 送迎車、ドラレコ、バックカメラ、アルコールチェッカー、清掃用品 | 定員、乗降、駐車場、保険、点検、運転記録 | 車両納期を先に確認 |
| 安全・防災・防犯 | 消火器、非常用品、救急箱、防犯カメラ、電子錠、飛散・転倒防止用品 | 消防・避難、死角、録画管理、訓練との接続 | 自治体・消防へ事前相談 |
| 衛生・健康 | 手洗い・消毒、体温計、清掃・洗濯用品、冷蔵庫、食器、換気用品 | 感染対策、食品管理、アレルギー、清掃分担 | 運用手順と同時に準備 |
| 療育・活動 | 絵カード、タイマー、筆記具、工作用品、感覚・運動遊具、屋外用品 | 障害特性、発達段階、誤飲、破損、刺激の強さ | 利用児に合わせて段階導入 |
| 職員・運営 | 職員ロッカー、名札、ユニフォーム、記録用品、掲示物、研修・会議用品 | 機密管理、動線、更新・補充の担当 | 開所後も定期見直し |
この一覧をそのまま購入表にするのではなく、「指定・安全に直結」「開所までに必要」「利用児決定後でよい」の3段階に分けると、先に買いすぎる失敗を防げます。
空間・家具・収納
机・椅子は人数だけで選ばない
定員分を一度に並べられるかだけでなく、個別活動、小集団、食事、宿題、職員会議など、同じ机を何に使うかを整理します。高さ、天板の大きさ、角の形状、がたつき、清掃のしやすさも確認します。
収納は「見せる」と「隠す」を分ける
本人が自分で選べる教材は見える収納にし、誤飲・破損・飛び出しにつながる物、個人情報、薬品、工具類は鍵付き収納へ分けます。大型棚は壁固定や転倒防止を前提に配置します。
静かに過ごせる場所を確保する
活動室全体がにぎやかなときでも、刺激を減らして休める位置をつくります。単にパーティションで囲むだけでなく、職員の見守り、避難動線、空調、音、照明を含めて考えます。
IT・通信・事務機器
パソコン・タブレット
支援記録、請求、勤怠、送迎確認、保護者連絡に必要な台数を業務ごとに分けます。共有端末を増やしすぎると、ログイン情報や個人情報の管理が曖昧になりやすいため、誰がどの端末を使うかも決めます。
複合機・プリンター・FAX
印刷枚数、A3の必要性、スキャン、両面印刷、保守、トナー代まで含めて比較します。購入価格だけでなく、5年間の総費用で買い切りとリースを比べます。FAXは紙機器を残すか、電子FAXへ移行するかも検討します。
電話・法人携帯・インターネット
固定電話、送迎用携帯、管理者端末、Wi-Fi、予備回線を分けて考えます。送迎中の連絡、災害や通信障害、職員の私物端末を使わない運用まで含めて必要台数を決めます。
送迎車・安全・防災
送迎車
車両価格だけでなく、利用児数、チャイルドシート等の必要性、乗降のしやすさ、駐車場、保険、点検、代車、燃料費を含めて選びます。納期が長い場合があるため、開所日から逆算して購入・中古・リースを比較します。
車載用品
- 前後または車内も記録できるドライブレコーダー
- バックカメラ、死角を補うミラー
- アルコールチェッカーと記録方法
- 乗車確認表、緊急連絡先、救急用品
- 汚れ・嘔吐等に備える清掃セット
防災・防犯用品
消火器、防災用品、非常食、ライト、モバイル電源、救急箱、防犯カメラ、インターホン、電子錠などを、マニュアルや訓練と接続します。設置しただけで終わらず、点検日、電池・消費期限、録画データの管理担当を決めます。
衛生・療育・職員用品
衛生・給食
手洗い、手指消毒、換気、清掃、洗濯、汚物処理、食品保管を場面別に分けます。冷蔵庫、電子レンジ、電気ポット、食器は、アレルギー対応ややけど防止、職員用との区分も確認します。
療育教材・遊具
絵カード、タイマー、筆記具、工作用品、感覚・運動遊具などは、開所時に大量購入する必要はありません。利用児の反応、興味、発達段階、破損・誤飲リスクを確認しながら増やします。
活動の切り替えに使う道具については、療育現場で使いやすいタイマー3選でも選び方と使用時の注意点を紹介しています。
職員用品
職員ロッカー、名札、ユニフォーム、室内履き、記録用バインダー、会議用品を準備します。職員の私物、鍵、個人情報、薬品などが混ざらない配置にします。
購入・契約する順番
- 物件契約前自治体の指定担当、消防、建築・用途の確認を行い、必要な部屋と避難動線を図面に落とします。
- レイアウト確定時定員と支援内容から、机・椅子・収納・静養・相談スペースの寸法と配置を決めます。
- 指定申請の準備時写真や平面図で説明できる状態にし、必要設備と備品に漏れがないか指定担当へ確認します。
- 開所1か月前通信、複合機、車両、防犯、保険など、納期や工事が発生する契約を完了します。
- 利用児決定後療育教材や感覚・運動遊具は一括購入せず、障害特性や発達段階に合わせて追加します。
- 開所後事故、ヒヤリハット、職員の動線、消耗量を確認し、月次で補充・配置変更・リンク更新を行います。
設備・サービスを用途別に確認する
必要な寸法・台数・契約期間を整理してから、各サービスの最新価格と提供条件をご確認ください。
家具・収納
机・椅子・ロッカーを比較
必要寸法と数量を決めてから、デスク、チェア、書庫、ロッカー、パーティションを確認します。
オフィス家具を確認する複合機・FAX
定額制の複合機レンタル
印刷量、A3、スキャン、FAX、保守、消耗品の条件をそろえて月額費用を比較します。
複合機レンタルを確認するPC・事務機器
保証付き中古パソコン
必要なOS、メモリ、画面サイズ、端子を整理し、保証・返品条件と一緒に確認します。
中古パソコンを確認するインターネット・電話
光回線とひかり電話
利用場所、工事可否、開通希望日、電話番号の必要数を整理して提供条件を確認します。
回線・ひかり電話を確認する法人携帯
送迎用・管理者用の携帯を比較
台数と利用場面を伝え、端末管理、故障対応、契約期間を含めて複数の提案を比較します。
法人携帯をまとめて相談する安全・防犯
防犯カメラ業者を比較
設置目的、図面、必要な保存期間を整理し、複数の設置業者へまとめて相談します。
対応業者へまとめて相談する看板・入口案内
看板の製作・修理・設置
設置場所の写真、寸法、建物条件、希望時期を整理して、対応内容と見積条件を確認します。
看板の製作・設置を相談する買い切り・リース・見積の使い分け
| 方法 | 向くもの | 確認する費用 |
|---|---|---|
| 物販・買い切り | 家具、収納、療育用品、消耗品、車載用品 | 本体、送料、組立、廃棄、保証 |
| リース・月額契約 | 複合機、法人携帯、通信、システム、送迎車 | 月額、契約年数、中途解約、保守、更新 |
| 現地見積 | 看板、内装、防音、空調、防犯、電話設備 | 現地調査、工事、電源、保守、原状回復 |
| 専門家相談 | 物件、消防、指定、保険、労務、請求 | 相談料、着手金、成功報酬、対応範囲 |
価格が高い商品ほど、購入金額だけでは判断できません。工事、保守、消耗品、解約、廃棄まで含めた総費用と、故障時に支援・送迎が止まるリスクを比較します。
まとめ:買う前に、空間と運用を決める
放デイの設備・備品は、一覧を一括購入して終わりではありません。指定・消防・建物の条件を確定し、支援内容と職員動線に合わせて家具やITを配置し、利用児に応じて療育用品を追加します。
まず物件とレイアウト、安全条件を確認し、その後に納期の長い通信・車両・工事、最後に利用児に合わせる教材・消耗品の順で進めましょう。
主な確認資料
最終確認:2026年8月13日。指定申請に必要な設備・書類は、事業所所在地の指定権者へご確認ください。