
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、送迎、活動、休憩、記録などで職員の動きが入れ替わります。申し送りが曖昧だと、同じ質問を本人へ繰り返したり、うまくいかなかった支援をもう一度試したり、家庭からの大切な連絡が次の担当者へ届かなかったりします。
一方で、情報を多く伝えればよいわけでもありません。観察した事実、行った支援、本人の反応、次に確認することを分けると、短い時間でも支援につながる申し送りになります。この記事では、日々の交代時に共有したい6項目を整理します。
1.今日あった事実を、時刻と場面で伝える
「落ち着かなかった」「調子が悪そうだった」という評価だけでは、受け取る人によって意味が変わります。いつ、どこで、何が起きたかを先に伝えます。
15時20分ごろ、活動室へ移動する前に入口で立ち止まり、「今日は入らない」と話しました。
誰かを責める言葉や、本人の気持ちを決めつける表現は避けます。見たこと、聞いたこと、確認できたことから始めると、その後の支援を考えやすくなります。
2.いつもとの違いを、比較できる形にする
普段と違う点は重要ですが、「いつも」とは何かを共有していないと判断がずれます。食事、水分、睡眠、表情、会話、動き、活動への参加などから、普段の様子と今日の差を伝えます。
- 普段は一度の声かけで移動するが、今日は三度声をかけても座ったままだった
- 普段は水分を二回取るが、今日は一回目を断った
- 来所時から発言が少なく、学校からも疲れた様子と共有があった
体調や安全に関わる変化は、通常の申し送りを待たず、事業所で決めた報告先と手順に沿って早めに共有します。
3.本人の言葉や意思を、推測と分けて残す
本人が話した言葉や選んだことは、支援をつなぐ手がかりになります。「嫌がった」だけで終えず、可能な範囲で本人の言葉、選んだ方法、拒否した場面を共有します。
言葉が少ない場合は、視線、手の動き、指差し、距離の取り方など、確認できた行動を記録します。「不安だったのだと思う」といった解釈は、観察した事実と分けて伝えましょう。
4.行った支援と、その後の反応をセットで伝える
起きたことだけでなく、職員が何を試し、本人がどう反応したかを共有します。次の担当者が同じ働きかけを続けるか、別の方法を試すか判断しやすくなります。
活動への参加を急がせず、静かな席と見学する場所を提示しました。本人は見学を選び、10分後に自分から材料を取りました。
支援がうまくいかなかった場合も大切な情報です。失敗と決めつけず、「どの方法では変化が見られなかったか」を事実として残します。
5.家庭・学校からの連絡は、必要な範囲を明確にする
家庭や学校から受けた連絡は、誰が、いつ、何を伝えたかを確認します。送迎担当だけが知っている状態にせず、支援に必要な部分を事業所の決めた方法で共有します。
個人情報を申し送りメモへ書くときは、閲覧できる人、保管場所、廃棄方法を事業所のルールに合わせます。関係のない家族情報や、確認できていないうわさまで広げないことも大切です。
6.次の担当者が「いつ・何を」確認するかを決める
申し送りの最後は、次の行動を一文にします。「様子を見てください」ではなく、確認する時刻、場面、項目、報告先を具体的にします。
- おやつ前に水分を再提示し、摂取の有無を記録する
- 帰りの送迎前に本人へ希望する座席を確認する
- 保護者へ伝える内容を責任者と確認してから引き渡す
- 記録を読んだ職員が、確認済みの印を残す
担当者名まで決められると、「誰かが見るはず」という抜けを減らせます。
30秒で使える申し送りの型
いつ・どこで何があったか。普段と何が違うか。本人は何を伝えたか。何を試してどう反応したか。家庭・学校から何を受けたか。次に誰が何を確認するか。
この順番を共通にすると、話す人によって項目が大きく変わりにくくなります。詳しい経過は支援記録へ残し、申し送りでは記録の場所も示します。新人職員へ確認方法を伝えるときは、引き継ぎチェックリストも参考になります。
チームで確認したい運用
- 申し送りを行う時刻と場所が決まっている
- 口頭共有が必要な基準と、記録だけでよい基準がある
- 急ぎの報告先と不在時の連絡順が決まっている
- 記録を確認したことが分かる方法がある
- 個人情報を含むメモの保管・廃棄方法が決まっている
こども家庭庁の児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドラインでも、支援前後の打合せ、日々の記録、職員間の情報共有の重要性が示されています。事業所の手順は、指定権者の案内や法人内規程も含めて確認してください。
よくある質問
申し送りは口頭だけでもよいですか?
口頭だけでは、勤務交代や欠席者がいると情報が届かないことがあります。事業所で決めた記録方法に残し、急ぎの内容は口頭でも補うようにします。
すべてを詳しく伝える時間がないときはどうしますか?
安全や体調に関わる変化、本人の意思、次の担当者が確認することを優先します。詳しい経過は記録の場所を示し、後から確認できる状態にします。
本人や保護者の言葉は、そのまま共有しますか?
支援判断に必要な範囲で、推測を足さずに共有します。個人情報は事業所のルールに沿って扱い、関係のない職員や外部へ広げません。
まとめ
申し送りでは、今日あった事実、いつもとの違い、本人の言葉、行った支援と反応、家庭・学校からの連絡、次に確認することを順番に共有します。評価と事実を分け、最後に次の行動を具体化することが、伝達漏れを減らす基本です。
保護者へ伝わる連絡帳の書き方もあわせて確認すると、事業所内の共有から家庭への連絡まで、一貫した言葉で整理しやすくなります。