
朝、玄関や送迎車の前で子どもから「今日は行きたくない」と言われると、保護者も支援者も戸惑います。予定どおり利用してほしい気持ちと、無理をさせたくない気持ち。どちらも自然です。
ただし、その場で説得を急いだり、反対に理由を確かめないまま結論を出したりすると、子どもが伝えようとしているサインを見落とすことがあります。
大切なのは、「行く・休む」をすぐ決めることではありません。まず、その日の状態を本人・家庭・事業所で一緒に確かめることです。
まず結論|急いで説得せず、3つを順番に確認する
「行きたくない」と言われたときは、次の順番で確認します。
- 気持ちを受け止める
- 体調と出来事を分けて確認する
- 小さな選択肢を一緒に決める
この順番は、必ず利用につなげるための方法ではありません。本人が安心して今の状態を伝え、家庭と事業所が安全に判断するための入口です。
1.最初は説得よりも、気持ちを受け止める
最初の言葉は、「行けば楽しいよ」「みんな待っているよ」ではなく、次のような短い受け止めから始めます。
- 「今日は行きたくないんだね」
- 「教えてくれてありがとう」
- 「何か気になることがあるのかな」
気持ちを受け止めることは、その場ですぐ欠席を決めることでも、すべての希望を通すことでもありません。「今の状態を話してよい」と伝えることです。
言葉で説明することが難しい子どもには、表情、動き、睡眠、食事、いつもと違う行動なども手がかりになります。ただし、観察した様子だけで理由を決めつけないことが大切です。
2.体調と出来事を分け、一度に一つずつ聞く
「何が嫌なの?」という広い質問は、答えにくいことがあります。質問を一度に一つにして、体調と出来事を分けて確かめます。
体調について
- 体が痛い、だるい、気持ち悪いなどはないか
- 睡眠や食事はいつもと大きく違わないか
- 発熱、けが、強い疲れなど安全面の心配はないか
出来事について
- 前回の利用や今朝、気になる出来事があったか
- 今日の活動、場所、人、音などに不安があるか
- 予定の変更や見通しにくさが負担になっていないか
例えば、「体がしんどい?」「今日の活動が気になる?」のように選びやすくすると、答えやすい子どももいます。
3.「利用する・しない」以外の小さな選択肢をつくる
安全と個別支援計画の範囲で対応できる場合は、二択だけにせず、小さな選択肢を示します。
- 到着後、静かな場所で5分休む
- 最初の活動を二つから選ぶ
- 支援者と一緒に入口まで行く
- 苦手な場面を職員へ先に伝える
- 今日確認したいことを一つだけ決める
選択肢が多すぎると、それ自体が負担になります。実際に対応できるものを二つ程度に絞り、本人が選んだことを尊重します。
家庭と事業所で共有するときの5項目
その日の対応は、「行けた・行けなかった」だけで終わらせず、事実を次の順に共有します。
| 項目 | 共有する内容の例 |
|---|---|
| 本人の言葉 | 「今日は行きたくない」と話した |
| 観察できた様子 | 睡眠、食事、表情、体調、いつもとの違い |
| 確認した出来事 | 前回の利用、今朝の出来事、気になった活動や環境 |
| 提示した選択肢 | 休憩、活動の選択、職員への事前共有など |
| その後 | 本人が選んだこと、利用中・帰宅後の様子 |
理由を一つに決めつけず、家庭と事業所が同じ事実を共有すると、似た場面が再びあったときの手がかりになります。
連絡帳で共有するときの書き方は、児発・放デイの連絡帳|保護者に伝わる5つの書き方でも整理しています。
続くときは「本人の問題」だけにしない
「行きたくない」が続く場合は、本人の気持ちだけでなく、活動内容、職員との関係、集団の大きさ、音や光、送迎、時間帯、予定変更など、環境側も一緒に見直します。
一度の出来事だけで原因を断定せず、家庭と事業所で記録を持ち寄り、必要に応じて個別支援計画や受け入れ方法を検討します。体調や安全について専門的な判断が必要な場合は、事業所内だけで抱えず、適切な専門職や関係機関への相談を優先してください。
よくある質問
行けば楽しめることが多い場合は、説得してもよいですか?
毎回同じ対応が正解とは限りません。まず当日の体調と出来事を確認し、本人が安心して選べる入口をつくります。安全上の懸念がなければ、短い利用や休憩から始めるなど、事業所と相談できる場合もあります。
理由を話してくれないときは、どうすればよいですか?
答えを急がせず、質問を一つに絞ります。言葉だけでなく、表情や行動、前後の出来事も記録します。ただし、観察した様子から理由を断定しないようにします。
欠席した日は、事業所へ何を伝えればよいですか?
本人の言葉、体調、確認した出来事、提示した選択肢、その後の様子を、分かる範囲で事実として伝えます。家庭側の判断を責めたり、事業所側の対応を決めつけたりせず、次回の受け入れを一緒に考える材料にします。
何日くらい続いたら相談すべきですか?
一律の日数では決められません。強い体調不良、けが、安全上の懸念、急な行動変化がある場合は早めの確認が必要です。繰り返す場合も、頻度や前後の状況を記録し、事業所の担当者と共有してください。
まとめ
「行きたくない」は、わがままと決めつける言葉でも、必ず休ませるべきという結論でもありません。その日の状態を知るための大切なサインです。
まず気持ちを受け止め、体調と出来事を分けて確認し、小さな選択肢を一緒に考える。その過程を家庭と事業所で共有することが、次の支援を考える土台になります。